脊柱管狭窄症の特徴とありがちな誤解!
脚やおしりなどに痛みを抱えていませんでしょうか。もしかしたらその痛みは「脊柱管狭窄症」による影響かもしれません。ここでは脊柱管狭窄症と誤解しやすいことなどについてお話したいと思います。
脊柱管狭窄症とは
では脊柱管狭窄症とはいったいどのようなものなのでしょうか。脊柱管狭窄症とは背骨にある脊柱管が何かしらの理由で狭くなり(狭窄)、それによって体に様々な悪影響が出る症状のことです。背骨とは椎骨や椎間板、椎間関節、黄色靭帯などで構成されており、脊柱管はこれらの間にある管のような空洞のことを示しています。脊柱管には脊髄という神経や血管などの重要な器官があり、骨で大切なそれらを守っているともいってよいでしょう。脊柱管狭窄症によって脊柱管が狭くなると、その中にある神経が圧迫されたり、血流が悪くなったりします。そうしたことが引き金となり、体の各所でよくないことが起きるようになるのです。
脊柱管狭窄症の特徴
脊柱管狭窄症の特徴を見ていきましょう。一般的にはお尻や太ももの裏などに痛みやしびれなどが出ることが多いです。脊柱管では下肢の動きをつかさどる神経が通っているため、神経の問題が痛みやしびれとして現れるようになります。もう一つの特徴としては「間欠跛行(かんけつはこう)」が起きることです。跛行(はこう)とは何かしらの異常により正常な歩行ができないことを意味しています。歩くのも難しくなるぐらいの痛みやしびれが起きたり治まったりすることが間欠跛行(かんけつはこう)です。間欠跛行の原因は神経の圧迫。歩行時に腰椎は伸展をしているのですが、脊柱管狭窄症を抱えていると腰椎が神経にぶつかり、圧迫することがあります。その結果として間欠跛行がおこり痛みやしびれなどが出るようになるのです。
腰部脊柱管狭窄症における間歇跛行の検討
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcsoa1989/4/2/4_2_415/
脊柱管狭窄症が起きる要因
脊柱管狭窄症を引き起こす原因の1つが加齢。人は年を重ねると骨や靭帯の位置がズレたり肥大化したりすることがあり、それが脊柱管によくない影響を与えて脊柱管狭窄症を引き起こすことがあるのです。ただしこれは年を取ることが原因というより、長期にわたる変化の結果という表現のほうが正しいかもしれません。脊柱管狭窄症とは捻挫や脱臼などとは異なり1日で発症することはなく、少しずつ起きる変化が蓄積することで発症する症状になります。
2つ目の要因は労働です。腰に負荷のかかる仕事をしていたり、長時間同じ姿勢で仕事をしていたりしないでしょうか。そうしたことが骨や神経の位置を少しずつ変えていき、やがて脊柱管狭窄症などの症状を引き起こすことがあります。仕事なのである意味で仕方ないのかもしれませんが、姿勢などには気を付けたほうがいいかもしれません。
脊柱管狭窄症で誤解しやすいこと
脊柱管狭窄症で誤解しやすいこととして挙げられるのは「椎間板ヘルニア」です。椎間板ヘルニアとは椎間板が繰り返し圧迫などを受けることにより、中にある髄核が飛び出している状態を言います。飛び出した髄核が神経を圧迫することで下半身にしびれや痛みをもたらします。このヘルニアによって発生する下肢のしびれや痛みが「坐骨神経痛」という症状です。脊柱管狭窄症と椎間板ヘルニアはともに下肢にしびれや痛みをもたらすため誤解しやすいですが、いくつか違いもあります。
1つ目の違いが「間欠性跛行の有無」。脊柱管狭窄症は間欠性跛行を発生させますが、椎間板ヘルニアには間欠性跛行がありません。
2つ目の違いは「痛みを感じる体勢です。脊柱管狭窄症は基本的に立っている状態や腰をそらした状態で痛みが出ます。たいして椎間板ヘルニアでは腰を丸めた時に痛みが出るという違いがあります。
上記の違いをから自分自身で判断することも可能ですが、進行度合いによっては違いを見分けられないこともありますので、その点は注意してください。また主観的な判断では気づきにくいこともあるので、当院で客観的に診察してもらうのもよいかもしれません。