腰痛とインナーマッスルの関係
腰痛を抱えている方は少なくありません。多くのケア方法が確立されていながらも、自力で症状を改善したいと考えている方もいるでしょう。でも慢性化している腰痛を改善する方法というのはあるのでしょうか。実はあります。それが「インナーマッスルを強化する」というもの。体は筋肉を使って動かしているのですが、同時に筋肉によっても支えられています。そのため支える役割を持つインナーマッスルの強化というのは、腰痛改善にとってはある種の理にかなったことだと言えます。
腹横筋トレーニングが慢性腰痛患者の圧痛閾値に及ぼす影響
Effect of Transversus abdominis muscle training on pressure-pain threshold in patients with chronic low Back pain https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33794983/
インナーマッスルの衰えが腰痛を生み出す
腰痛の原因は人それぞれなので一概には言えませんが、「インナーマッスルの衰えにより姿勢が崩れた結果、腰痛を引き起こしていた」というのが多くあります。インナーマッスルとは体の奥深くにある筋肉のことです。背骨を例にとると、背骨は硬い椎骨と柔らかい椎間板が連結しており、その椎骨と椎間板を支えてサポートしているのがインナーマッスルになります。
ではこのインナーマッスルが衰えなどで働きが弱くなるとどうなるでしょうか。背骨などを支える力が弱くなり、何もしていないにもかかわらず姿勢が崩れてしまい、そのことがきっかけで腰などに負担が集中して、腰痛などを引き起こすようになるのです。つまり腰痛を改善するためには痛みの緩和と一緒に体を支えてくれるインナーマッスルの強化が欠かせません。
腰痛と関わりが深いインナーマッスルは!?
腰痛とインナーマッスルの関わりはある程度理解できたかと思います。とはいえ通常の筋肉には上腕二頭筋や大腿四頭筋などがあるように、インナーマッスルも様々な種類があります。ここでは腰痛とかかわりの深いインナーマッスルをいくつか紹介しましょう。まずは「多裂筋」。首から腰にかけて背骨の椎骨などに付着しているインナーマッスルです。背骨を傾けたりひねったりするときにも関わる筋肉であり、背骨を動かすことや安定性を保つための役割を担っています。この多裂筋が弱くなったり固くなったりすると、背骨の動きが鈍くなったり、背骨の位置が乱れて腰に負担が集中してしまうことがあり、それが要因となって腰痛などの症状を引き起こすことがあります。
2つ目は「腹横筋」。肋骨の下部から骨盤まである筋肉で、お腹を覆うように存在しているインナーマッスルです。筋肉の形状がコルセットを巻いているように見えるため、「内臓のコルセット」ともいわれることがあります。腹横筋の役割は内臓や腰を安定させること。位置的には腹筋こと腹直筋に近いのですが、同時に背骨の下部の安定性を維持するという役割も持っています。この腹横筋ですが、猫背など背中を丸めた姿勢が常態化している人は要注意です。背中を丸めた状態は腹横筋に負荷が集中した状態になっており、それが長期間続いてしまうと腹横筋が固くなってしまうからです。腹横筋が固くなると腰を安定させる機能が減少し、結果として腰痛などの良くないことを引き起こすようになります。もしも腰痛を持っている方で姿勢が前かがみ気味になっている方がいましたら、まずはその姿勢を正してみましょう。
最後は「腸腰筋」。骨盤から股関節にかけてついてある筋肉で、股関節の動きに大きく関わっているのが特徴です。この腸腰筋ですが、座っているときに負担がかかる筋肉でもあります。長時間座っていたり長い時間運転していたりすると腸腰筋が固くなり、それが引き金となって腰痛を感じることがあります。仕事などで座る時間が長い場合は腸腰筋由来の腰痛を疑ってみるのがいいかもしれません。また腸腰筋は脚を動かすのにも関わる筋肉でもあるため、トレーニングしたらスムーズに歩けるようになったなどの事例も多数ありますので、腰痛改善以外の目的でも強化することをオススメします。